ピカピカに磨き上げられた光り輝く粗削りな宝石のような、
形容矛盾をいくらでも重ねたくなる素敵な作品だったなぁと。
伏線の張り方が独特。何度も同じシーンを繰り返すことで伏線が
重層化していく。ただ、この作品中ではそのすべては回収されない。
ストーリーの全体像をぼやかしたまま、物語は終わる。
作中で説明されない(文章でも画像でも)点は多く、消化不良といえば
消化不良。
その分妄想がはかどる作品で、ここのシーンはこういう意味では? とか
こう繋げたら話が通るのでは? という試行錯誤を読み手に行わせることを
意図した作品のように思う。わざと消化不良を狙っているような。
同時に、この物語の真相はマルコと銀河竜だけのもの、という感も受ける。
余人が何かを差し挟むことのないよう、マルコと銀河竜の2人の物語が
完結し、続いていくように製作されているように感じた。
描いてしまうと、作中で提示された「愛と希望」の対比に抵触するから
なのかな、と思う次第。全部明瞭にわかっていたとしても、それを子細に
語るうちに「愛」へと近づいてしまう、だから二人は語らないのかな、と。
画像・動画・音楽・演技も相当えげつない。
ADVって背景+立ち絵でたまに1枚絵、という形が普通だと思うのだけど、
この作品は1枚絵が基本で時たま背景+立ち絵という逆転現象が起きている。
そしてシリアスが場面がことごとくカートゥーンアニメ。おそらく意図的。
でも、アニメーションとそこに合わさる音楽がすごく良くて、妙な納得感が。
最後のあたりのシーンを見る限り、どのシーンもシリアスに描くことは
できたのだろうけど、全部そうしていたら間違いなく胸やけ&こころが
しんどくなる描写だったことを思うと、相当計算してカートゥーンアニメに
しているかなぁ、と。
逆に最後のあたりのシーンはシリアスなシーンがシリアスなままで残されて
いたのだけど、ここはマルコと銀河竜の痛切なやり取りがすごく好きで、
精いっぱい嘘をつこうとする銀河竜の、声が震えるように聞こえる悪態が
本当に……
ちなみにエロはないですがグロはわりと容赦ない気が(そういうのを売りに
している作品ではない&全年齢対象作品なので、そんなに無茶苦茶ヤバい
わけではない)。自分はあるシーンで一回吐きかけた。自分がそういうのに
弱すぎるだけ?
そしてテーマ曲の「飢餓と宝玉」が、これまた全編見終わった後だと
いろんな妄想がはかどる歌詞になっており、とても良い……
全体を通じて、種々の要素の統合度が高い作品。
膨大な熱量のこもった素晴らしい未完成の物語でした。
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